HAPPY JAZZ

ジョン・ピザレリ
John Pizzarelli

日本のジャズファンっていうと眉間にしわを寄せて、「真剣勝負だーっ」なんて勢いで聴いている人が多い気がするけど、ただ楽しいだけのジャズだってあってもいいんでないかい?

まぁパーカーもモンクもコルトレーンもまともに聴いたことがない、ジャズ学校裏口入学オヤジ(ていうか管理人のジャズ入門は寺島師匠の「感情的JAZZコレクション」ですから〜、残念!)のたわ言と聞き流してちょ〜だい。

それでは正統派ジャズファンが見向きもしない(かどうかは素人ジャズファンの管理人にはよくわからんが。)駄盤、じゃなく名盤の数々をご紹介しましょう。

第4号 2005.2.27




ラムゼイ・ルイス/ラムゼイ・ルイスのラテンで行こう!
ラムゼイ・ルイス
UNIVERSAL VICTOR
MCCJ-19030  1999年
(C&P MCA 1966年)
ラムゼイ・ルイスのラテンで行こう!
1.ヘイ・ミセス・ジョーンズ
2.サマー・サンバ
3.1,2,3
4.フリー・アゲイン
5.ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド
6.ブルー・ボンゴ
7.アイル・ウェイト・フォー・ユー
8.ファンクション・アット・ザ・ジャンクション
9.スパニッシュ・グリース
10.ララのテーマ(サムホエア・マイ・ラヴ)
11.キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド

 ラムゼイ・ルイス(p)
 クリーヴランド・イートン(b)
 モーリス・ホワイト(ds)
 orchestra&strings リチャード・エヴァンス 
も〜、これはお気楽ジャズの鑑といえる名盤ですねぇ。ラムゼイが左手にソンブレロ、右手には妙にデカイ旅客機の模型をかかえ、ニカッと笑うおマヌケぶりはもうたまりません。ミスマッチなスーツ姿も最高ですね。

本作では、正統派ジャズファンから永遠にバカにされ続けることになる65年の大ヒット・アルバム(何たって全米チャート2位ですからね〜)「ジ・イン・クラウド」のオリジナル・トリオのメンバー、エルディ・ヤング(b)、レッド・ホルト(ds)が独立し、替わってクリーヴランド・イートン(b)とモーリス・ホワイト(ds)(もちろんあのアース・ウインド&ファイアーのおっさんです。)が参加。このトリオにリチャード・エヴァンスのオーケストラが加わり、お気楽、無節操ラテン・ジャズ大会を繰り広げます。

いや〜、しっかしこんなアルバムを堂々と聴ける邪道派ジャズファンでよかったぁ。(正統派ジャズファンのミナサンもこっそりと隠れて聴いてねっ!)


JOHON PIZZARELLI/MY BLUE HEAVEN
ジョン・ピザレリ
CHESKY JD38 1990年
My Blue Heaven
1.My Blue Heaven
2.I'm an Errand Boy for Rhythm
3.It Could Happen to You
4.Oh, Lady Be Good
5.Touch of Your Lips
6.Can't Take You Nowhere
7.Take My Smile
8.That's What
9.Stray Horn
10.Best Man
11.Oh Me, Oh My, Oh Gosh
12.Don't Get Around Much Anymore
13.Gee Baby, Ain't I Good to You
14.Passion Flower
15.Zoot Walked In/Morning Fun
16.Candy

寺島師匠の名著「辛口!JAZZ名盤1001」の紹介コメントを読んだ瞬間に買いに走ったジョン・ピザレリの傑作アルバム。これほど気持ちよく自然にスウィングする作品は最近じゃ滅多にないですねぇ。(ってこのアルバムももう15年前の作品かぁ。年喰うわけだね。)

マイナー・レーベルのチェスキーからのリリースですが、ジョン・パパの人脈だろうけど参加メンバーがとにかくすごい。
ミルト・ヒントン(b);
ジャッジの異名を持つジャズ・ベース界の至宝。本作参加時は80歳!でしたが、お得意の力強いピチカート奏法もまだまだ健在です。2000年に惜しくも他界。
コニー・ケイ(ds);
長きに渡ってあのMJQを支え続けた名ドラマー。本作参加時は63歳でした。
デイヴ・マッケンナ(p);
スウィング/中間派の名ピアニスト。小粋にスウィングするピアノ・スタイルは最高です。本作参加時は60歳。若手です(笑)。
クラーク・テリー(tp);
天才トランペッターであるばかりでなく、人情家で多くのミュージシャンにリスペクトされ続け、彼の人生そのものがジャズの歴史といえるでしょう。本作参加時は70歳!。
バッキー・ピザレリ(g)
最後はもちろんジョン・パパです。ベニー・グッドマンに最も信頼された伝説のギタリスト。ジョンが最も信頼するギタリストでもあります。本作参加時は64歳。

ジョン&バッキーの親子共演盤は何枚もありますが、このアルバムはあまり語られることがないような気がしますね〜。ジョン・パパのきざむ超心地よいサイドギターはほんと昇天ものですよ。絶対聴いて見てネッ!


THE ROSENBERG TRIO/GYPSY SWING
ローゼンバーグ・トリオ
POLYDOR 527 806-2 1995年
Gipsy Swing
1.It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
2.Django
3.Tequila
4.Miro Tata Mimer (For My Dad Mimer)
5.Theme From Mahogany
6.Cherokee
7.Bluesette
8.Guitar Boogie
9.Rosemary's Baby
10.Silk And Steel
11.Cavatina (Theme From The Deerhunter)
12.Hungaria
13.Children Of Sanchez
14.Yours Is My Heart Alone (Dein Ist Mein Ganzes Herz)
15.Begin The Beguine
16.Latscheben
17.How Insensitive (Insensatez)

ジャンゴ・ラインハルト直系のマヌーシュ・スウィング・バンド、ローゼンバーグ・トリオの傑作アルバムです。(正統派ジャズファンに言わせればこんなのジャズじゃないって言うんでしょうけどね〜。まぁ、確かにこりゃ〜ジャズじゃないよなって気はするけど、いいものはいい!ジプ・キンもいいけどローゼンバーグも是非!)

ローゼンバーグ・トリオはジャンゴの縁戚であるローゼンバーグ家の三兄弟で結成されたバンドですが、とにかくリード・ギターのストーシェロの超絶ギター・テクにはもうぶっ飛ぶしかないですよねぇ。時にストリングス入り大甘イージーリスニング風の曲もやってるけど、聞き込むと結構それも悪くないモンです。 

このアルバムはローゼンバーグ・トリオの「ロ」の字も知らなかった頃、石丸電気の店頭で偶然見つけ、ジャケ写の雰囲気、タイトル(もろ「ジプシー・スウィング」だもんね。)、MJQがジャンゴ・ラインハルトに捧げた名曲「DJANGO」が入ってるってことで見当買いしたんですけど、大当たりでしたねぇ。(しっかし、最近の石丸の品揃えのヒドサはなんなのかね。輸入盤規制の関係かどうかは知らんけど、欲しいもんがなんにもないよ。)

マヌーシュ・スウィング
マヌーシュ(フランス北部からベルギーにかけての地域で生活しているジプシー)系の演奏家たちによって始められた。伝統のジプシー音楽にジャズの要素を大胆に取り入れた斬新な音楽。ジプシー・スウィングとも呼ばれる。


VINCE GUARALDI TRIO/A BOY NAMED CHARLIE BROWN
ヴィンス・ガラルディ・トリオ
FANTASY FCD-8430-2 1989年
(FANTASY 8017 1964年)
A Boy Named Charlie Brown
1.Oh, Good Grief!
2.Pebble Beach
3.Happiness Is
4.Schroeder
5.Charlie Brown Theme
6.Linus and Lucy
7.Blue Charlie Brown
8.Baseball Theme
9.Freda (With the Naturally Curly Hair)
10.Fly Me to the Moon

  VINCE GUARALDI(p)
  MONTY BUDWIG(b)
  COLN BAILEY(ds)

チャーリー・ブラウンでおなじみの「ピーナッツ」がCBS・TVでスペシャルとして放映されたときのオリジナル・サウンドトラック盤です。「Fly Me to the Moon」はオリジナルLPには収録されていなかったCDだけのボーナス曲。これがまたいいんだ!

演奏はヴィンス・ガラルディ・トリオ。ヴィンスのピアノの特徴は何といっても小粋で軽やか、小難しいことは一切しないところがいいよね。(47歳の若さで他界してしまったのがほんとに残念!)
まぁ、お察しのとおり日本での評価はきわめて低く、「これといった特徴がない」「凡庸」といった評価がほとんどですけどね。(あのウィンダム・ヒルのジョージ・ウィンストンがヴィンスの大ファンで、「ライナス&ルーシー 〜ザ・ミュージック・オブ・ヴィンス・ガラルディ」なんていうカヴァー・アルバムまで出していますが、これまた、本格派ジャズファンに小馬鹿にされるのを助長しているような気がしますね。)

ヴィンスは本作の他にもピーナッツ・シリーズのサウンドトラックを数多く手がけています。どれを取ってもリラックスして楽しめる作品ばかりなので是非一度お試しを!


チャーリー・ノーマン/シンギング・ピアノ
チャーリー・ノーマン
CENTURY CECC-00707 1994年
(1979年)
現在新品での入手は困難なようです。
オークション統計ページ(仮)

などで探してみてください。
1.セントルイス・ブルース(ブギ・ウギ)
2.ブギ68
3.カルメン
4.チャタヌガ・チュー・チュー
5.リパブリック賛歌
6.A列車で行こう
7.ダーク・アイズ
8.キャラヴァン
9.ラプソディー・イン・ブルー
10.ミスティー
11.ベサメ・ムーチョ


 チャーリー・ノーマン(p)
  レニー・ノーマン(b)
  ロニー・ガードナー(ds)

ブギ・ウギ・ピアノの楽しさをストレートに伝えてくれるアルバムですねぇ。ライナーにあるとおり”ほかのジャズ・ピアニストでは、まず味わえない、ブギ・ウギの世界”がたっぷり堪能できます。(ていうか、ブギ・ウギ自体オールド・タイミーなスタイルってことで、まっとうなジャズ・ミュージシャンには見向きもされないってことでしょうけど。)

日本ではほとんど無名なピアニスト(ジャズ批評別冊の「ピアノ・トリオ1600」でかろうじて本作1枚が紹介されている程度。)ですが、地元スウェーデンでは広く知られているようです。

演奏スタイルはもちろんブギ・ウギですが、E・ガーナーの名曲「ミスティ」や他の曲でも演奏のはしばしにムーディで繊細なタッチがうかがえ、相当な実力者だってことがわかりますね。

とにかく、お芸術したジャズ・ピアノなんて大嫌い、理屈ぬきに楽しいピアノが聴きたいなんていうあなたに超お薦めのハッピー・ジャズ(?)・アルバムですっ!


ビック・ディッケンソン・ショーケース VOL.1
ビック・ディッケンソン ビック・ディッケンソン
1.ロシアの子守唄
2.ジーパーズ・クリーパーズ
3.水辺にたたずみ
4.サー・チャールス・アット・ホーム

5.キーピング・アウト・オブ・ミスチーフ・ナウ
ビック・ディッケンソン(tb) ルビー・ブラフ(tp) エドモンド・ホール(cl) スティ−ブ・ジョーダン(g)
サー・チャ−ルス・トンプソン(p) ウォルター・ペイジ(b) レス・アースキン(ds)
KING KICJ-188 1993年(1953年録音)
現在新品での入手は困難なようですが、
VOL.1,VOL.2から10曲をセレクトした
The Essential Vic Dickensonが入手可能です。

ヴァンガード・ジャズ・ショウーケース・シリーズの1枚としてリリースされた、いわゆる中間派ジャズの最高傑作といわれているアルバムです。オリジナルは10インチ盤で、VOL..1(1,2を収録)とVOL..2(3,4,5を収録)の2枚に分けて発売されされました。

とにかく楽しいというよりも、聴いていて気持ちいいといったアルバム。この気持ちのいいスウィング感を生んでいるのはなんといっても「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ」と刻み続けるスティ−ブ・ジョーダンのリズム・ギターでしょう。ライナーにもこのヴァンガード・ジャズ・ショウーケースの録音は全シリーズを通して、リズム・セクション、特にリズム・ギターに特段の配慮がなされているとあり、思わず大きくうなずいてしまいましたね。

ところで「中間派ジャズ」の名付け親は、ジャズ評論家として活躍していた若き日の大橋巨泉さんだってことは有名ですよね。しっかし、巨泉さんてすごいよね。ジャズ、マージャン、つり、将棋などなど、遊びが全部仕事になっちゃうんですからねぇ。司会業でがっぽり稼いでセミリタイヤ。オーストラリアで悠々自適の暮らしなんて憧れちゃいますよねっ。

中間派ジャズ
40年代前半のスイング末期から50〜60年代のモダンジャズ黄金期までの過渡期に、黒人スイング系ジャズメンを中心に行われたジャムセッション形式のコンボ演奏をいう。
あくまでスイング感を残しながら、アドリブ演奏が繰り広げられるのが特徴。


ビック・ディッケンソン・ショーケース VOL.2
ビック・ディッケンソン ビック・ディッケンソン
1.マギー、二人が若かった時
2.新しい恋を
3.エブリバディ・ラブズ・マイ・ベイビー
4.ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・
 ゲット・イット
5.オールド・ファッションド・ラブ
6.サスペンション・ブルース
7.ランニン・ワイルド
ビック・ディッケンソン(tb) シャッド・コリンズ(tp) ルビー・ブラフ(tp)(3,5のみ) エドモンド・ホール(cl) 
スティ−ブ・ジョーダン(g)  サー・チャ−ルス・トンプソン(p) ウォルター・ペイジ(b) ジョー・ジョーンズ(ds)
KING KICJ-189 1993年(1954年録音)
現在新品での入手は困難なようですが、
VOL.1,VOL.2から10曲をセレクトした
The Essential Vic Dickensonが入手可能です

VOL.1の翌年に再び録音された続編。こちらも同様にオリジナルは10インチ盤で、VOL..3(1〜4を収録)とVOL..4(5〜7を収録)の2枚に分けて発売されされました。

メンバーはシャド・コリンズが新たに加わり、ルビー・ブラフは2曲の参加にとどまっています。また、ドラムが無名のレス・アーキンから御大(録音当時はまだ43歳ですけど。)ジョー・ジョーンズに交代しています。

リズム・セクションの力関係が変わったせいか、ティ−ブ・ジョーダンのギターがかなり控えめになっていていますが、全体のバランスとしてはこれでいいのかも知れませんね。(個人的にはちょっと残念ですけど。)

内容的には、ほのぼのとした癒し系のスロー・ナンバー(ほんとになごみますよ〜。)とメチャ楽しいスイング・ナンバーがバランスよく収録されていて、名盤の名にふさわしいファン必携の1枚となっています。